知らない色と形
もし 生まれたときから
眼が見えなかったなら…
この世界を私は どう見たのだろう?
色を知らない
木の葉たちの翡翠も
海の深い碧も
空の澄んだ蒼も
私が愛す色という全て
知らなかった形在るもの全て
その全てを見ても
今想うような心をみつけただろうか?
もしかしたら
肌に纏わりつく風を愛したかもしれない
木の葉が揺れる音を慕ったかもしれない
今以上に…
もし 眼が見えなかったなら…
わたしの世界は
無限大に広がり続けてたかもしれない
どちらにしろ 今
眼は見えている
私は色も形も知っている
分かっていないものが多かったとしても…
もし 叶うのならば
幼い頃の何も知らなかった
あの頃に戻りたい
いろんな意味で
無知な私の眼でこの世界をみつめてみたい
林檎ときいて
あの紅くて五角形の丸い蜜に
溢れる塊は思い浮かばないような
もっと何の色でもなく
何にもならないような形が
在ることを私は知りたい